自分の自信の無さが、同じクリエイターたちの価値を下げている
こんにちは。のっちです。
仕事が終わってただいま夜中の2時を回ったのだけど、個人ブログ書くときはご褒美のような気持ちでかけるのでまだいけます。
文章に疲れて、うわーってなるのにTwitterや個人ブログで文章を書いて癒されるって何だか本末転倒だなぁ。
さてTwitterといえば、先日こんなつぶやきを投下してみたのですが
美容師の頃は「タダで髪切って」と言われ、デザイナーの頃は「デザインして」と言われ、ライターになったら「記事書いて」と言われる。その最後に「友達価格で」という魔法の言葉がついて。
— 古性のっち (@nocci_84) January 28, 2016
なんだろうか友達価格って。友達だからこそ正当な価格でその人を応援するべきなんじゃないのか。
すごくすごくリツイートしてもらえて、もうすぐ1万RTになります。
これが「嬉しい」というよりは、「同じような思いをして、共感する人がこんなにいるのかー」という事実に、なんだか悲しくなってしまいました。
今回はそんな「正当な価格で仕事を受けること」について、好き勝手ぶん投げてみます。
*もし不快な思いをされた方がいたらごめんなさい。持論です。
* * *
その意識の低さが、大好きなあのひとの価値も下げているかもしれない
前回の記事でも語っていたのですが、わたしは転職マンです。けっこうな数の職を経験してきました。
「自分の可能性をもっと信じたい」とか「これがやりたいからこっちへ行く」とか
色々かっこいいことを言ってきたけど、つまりはただの飽き性なんです。集中力もありません。ついでに忍耐も(笑)なのでいっぱい転職を繰り返してきました。
そんな風に何回も「一番下からの這い上がり」を経験してみてわかったことは
「正当でない価格で技術を提供することは、自分の一番好きなものを苦しめる」
ということです。
* * *
「これ、もう少し安くなりませんか?」
そんな声が聴こえてきたのは、デザイナーにキャリアチェンジして、はじめてお世話になった会社の会議室からでした。
うす暗い部屋の中で不機嫌そうに腕組みをする、神経質そうなスーツの男性と、ちょっと険しい顔をしている、わたしの大好きな女子デザイナーの先輩。
PCを挟んで向かいに座った男が、少し言いにくそうに口を開きます。
「正直これだと、ちょっと厳しいかもです。実は前にデザインしていただいた会社さんは1/2くらいの費用だったんですよ」
「このデザインってそんなに時間かかるんですかねぇ・・」
「うーん・・・でもなあ・・・デザインにこの値段はなあ・・」
先輩はじっと先方を見つめたまま、苦笑い。
* * *
息が詰まるような会議が終わったあと、先輩がポツリと
「結局、価格競争になっちゃうのよねぇ。技術に自信はあるし、あの値段妥当なんだけどなあ」と、悲しそうにわたしに漏らしてくれました。
「初心者」を言い訳に、割引を繰り返していたわたし
当時、奨学金で借金まみれだったわたしは、仕事をする傍らでデザインに関するあらゆる仕事を受けていました。友達伝いで。先生伝いで。エトセトラエトセトラ。
そしてそのほとんどを、相手の言い値もしくは格安で受けていました。
だって、仕事がほしかったから。
「安くなれば相手も喜ぶだろう」「友達だから安めにしよう」「まだ初心者デザイナーだから」
そしたらきっとまたわたしに依頼してくれる。そんな、プライドも微塵もないような理由で。
そんな中で、この先輩とのやりとりは
私が仕事を「正当な」価格で受けなかったことで、同じ職種の価値自体を、下げているのかもしれない
ということに気付かされたのと同時に、ものすごく恥ずかしい気持ちを与えてくれました。
すごく、些細な塵のようなレベルかもしれないけれど、それでもきっと確実に今、先輩を追い詰めている輪の中にわたしはいるんだろう、と。
わたしの「自信の無さ」は仕事の価値ももちろんのこと、自分の価値も、そして大好きなあの人の価値も下げているのだと。
わたしの「格安」は、親切心でも、友達だからでもなんでもない。
正当な価格で戦えるだけの技術がない自分への、言い訳だったのです。
たったそれだけ。
プロでもアマでも、それは立派な”あなたの武器”
プロであれ、アマであれ、今日はじめた初心者であれ、大事なスキルを「この人に頼むと安いから」「学生だから」「初心者だから」とただ群がってくる人のために無駄遣いしてはいけない。
これから長い人生を一緒に生きていくそのスキルを、むやみやたらに乱用してはいけない。
大事なスキルは、大事な人のために。そして自分を大事にしてくれる人のために使いたい。
「いつもありがとう」と本当に感謝したい人にだけ、そっとおまけしてあげてほしい。
技術には目には見えないけれど「尊い時間」が費やされていて、自分の「一生懸命」が詰まってる。
安易に安売りしてはいけないんだ。
* * *
とはいえ実際問題、じゃあ何年もスキルを積み上げてきたひとと同じだけの値段を、学生や初心者が取れるかというと、そんなこともなく。
ただせめて、意識だけでも「プロ」として構えていてほしい。
「この格安が、先輩たちの命を削っているかもしれない」という意識をもってほしい。
そう思っています。
そして願わくば、依頼する側のみなさま、どうか必死に頑張るクリエイターを安く叩きあげないでください。
「割引します」と言われたら怒ってやってください。「自分のスキルに自信を持て胸を張りやがれ!」と応援してあげてください。
* * *
追記:
ちなみに「そもそも買い叩かれないような立ち位置になればいい」や「自分の価値をあげればいい」というのはごもっともなご意見です。
しかし世の中、強者ばかりではないのもまた事実。
ということで、こういう記事を書いてしまうのもまた、甘えで未熟者なのかもしれません。
追記の追記:
カメラマンのつるたま(@tsuru1981)さんが、カメラマン目線で書いてくれていました。
カメラマンさんにお仕事をお願いしている人にはもしかすると「うう・・」と胃も胸も痛くなってしまいそうですが、合わせてぜひ。(勉強になった)
おまけ
Livedoor Newsさんが取り上げてくれました。人生初でドキドキしてます。ありがとう!
それではまた。